法定協議会(二市二村)設置議案を議決
3月25日(火)白井市議会は臨時議会を開催し、二市二村(白井市、印西市、印旛村、本埜村)の法定協議会設置議案を賛成多数(17対6)で可決した。又同日印西市議会も大多数、本埜村議会は全会一致で各々可決した。翌26日(水)には印旛村議会も大多数にて可決し、4月1日付で二市二村の法定協議会が設置されることになった。来年9月まで約1年半をかけて新市建設計画などを練り、仮し満足すべきものとなれば、今度は合併そのものを議決することになるわけです。
私は平成12年7月に市町村合併問題研究会会長に就任以来、約2年間に亙ってこの問題を担当して来ましたが、やっと一段落がついた感じです。
以下、私の考え方の概要を申し述べます。
- これまでの経過
- 印西市議会は平成14年9月議会、本埜村議会は同年12月議会において、住民から提出された法定協議会の早期設置を求める請願を採択した。又、白井市議会は平成15年1月15日臨時議会において同様の陳情を採択した。
- 平成14年12月26日白井市、印西市、栄町、印旛村、本埜村の5市町村長及び正副議長は任意協議会を設立した。
- 2月13日鎌ヶ谷市長は、白井市との法定協議会設置請求書が提出された旨白井市長に通知し、議会へ付議するか否かの意見照会をした。
- 2月16日(日)には、5市町村の第4回任意協議会が開催され、栄町は成田空港圏の法定協議会へ参加するとして当会からの脱会を表明し了承された。その後、残る白井市、印西市、印旛村、本埜村の4市村は、3月中に法定協議会を設置することを合意した。
- 3月20日白井市は、合併しない場合の財政シミュレーションを発表した。これによれば10年後には基金残高が底をつき、投資的事業を実施する財源が全くなくなることになっている。
- 3月27日、白井市長は鎌ヶ谷市長に対し鎌ヶ谷市民からの法定協設置請求を白井市議会に付議しない旨回答した。その理由は、千葉ニュータウンを構成する2市2村の法定協設置が決定されたことにより道義的に2つの法定協設置はあり得ないということである。
- 白井市をとりまく背景
- 国と地方の財政状況
国と地方を合わせた長期債務残高は平成14年度末で約693兆円にのぼり、ここ10数年で3倍近くになっている。
対GDP(国内総生産)比では、139.6%でイタリアよりも悪く、主要先進国中最悪の水準である。
- 千葉県及び企業庁の財政状況
県は、平成14年度決算で46年ぶりの赤字となる見通しで、財政はどん底であり、民間会社の倒産に当たる財政再建団体に転落するおそれがある。
県企業庁は、5年間で900億円の赤字が見込まれ、ニュータウン整備部は白井市に対し、今までくれていた公益的施設負担金の一部59億円を削減したいと申し入れてきており、現在協議中である。
- 都市基盤整備公団は?
都市基盤整備公団は、平成13年12月閣議決定された「特殊法人等整理合理化計画」において、平成17年3月には廃止民営化となり、継続事業はスリム化し速やかに終了させることになっている。
- 千葉ニュータウン事業の見直し
こうした流れから企業庁・公団は平成14年8月、千葉ニュータウン事業の再見直し案を発表し、事業費の削減と整備水準の見直しを図り、新住事業としては概ね10年後の収束を目指すとしている。
- 白井市の財政状況
平成13年度決算において、財政の弾力性を示す経常収支比率が93.9%という極めて優慮すべき数値に達した。そこで市は急拠緊急財政健全化計画を発表し、平成15・16年度で硬直化した財政構造の改善を図ろうとしている。
しかしながら、長引く不況と少子高齢化により歳入の増加は期待薄で、反対に歳出の増大が見込まれることから、34.7億円の財政調整基金は早晩底をつくものと思われ、財政改革は簡単なことではない。
- 行財政基盤の確立にむけて
以上のように、国も県も公団もそしてわが市自身も財政が極めて逼迫しているがこの財政危機を打開するにはどうしたら良いのであろうか。私は、特例法の期限である平成17年3月末日までに市町村合併を実現し、手厚い財政支援措置を活用することが唯一の打開策ではないかと考えます。
その主たる内容は、4市村の場合
- 合併特例債 532億円、l/3は借金で残りますが、2/3は交付税で措置されます。
- 特別交付税など3本で、3年〜5年間合計28.1億円の交付があります。
- 県からも5年間で7億円の補助金がでます。
従って、これからの問題は、合併特例債を活用して、どのようなまちづくりをすることができるか、具体的に知恵を出していくことだと思います。
尚、市町村合併を実現した方が良い一般的理由としては、
- 50年前の生活圏の飛躍的拡大
- 地方分権の推進
- 少子高齢化の進展
- 行財政基盤の確立 の4つが言われています。
- 期待できる具体的合併効果 (通学定期代も安くできる)
- 千葉ニュータウン事業を一体的に整備出来る。
- 北総・公団線の運賃問題、成田新高速鉄道・北千葉道路の整備促進に対し、一体的に対処出来る。
- 県財政シュミレーションによる人件費の削減効果は10年間で117億円(4市村の場合)となっている。
- 一部事務組合(ゴミ・消防)の統合が図れ、経費の削減・行政の効率化が図れる。
- 印西クリンセンター建替事業について、合併特例債を活用すれば、52億の余裕資金が出るので、それを別の事業(例えば北総鉄道への出資)に廻すことができる。
そうすれば通学定期代(約4億5千万/年あれば現在の半分にできる)ぐらいすぐ安くすることが出来ます。
- 印西クリーンセンター更新施設建設事業
印西クリーンセンターの焼却炉(1.2.3号)の更新や高煙突化事業は、平成17年〜26年までの10年間で実施されることになっている。この事業を従来どおり一般廃棄物処理事業債を使って実施すれば、一般財源の実質負担額は126億となりますが、合併特例債を活用して実施すると、74億で足り52億一般財源からの支出額が減少する計算となります。従って、合併特例債を使うと3分の1の借金が残るという批判は全く新たに事業を行う場合であり、合併如何に拘らず当然に実施しなければならない事業については、従来通りの手法ではなく、合併特例債を使うことによって、借金ではなく反対に現金が残ることになり、財政上極めて有利な結果となります。次にその概要を簡単な一覧表にしておきますのでご確認ください。
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|
一般廃棄物 処理事業債 |
合併特例債 |
比較 |
1.総事業費 |
245億 |
245億 |
0 |
2.国・県補助金 |
76億 |
76億 |
0 |
3.起債額 |
81億 |
141億 |
60億 |
4.一般財源 |
88億 |
28億 |
−60億 |
5.交付税措置率 |
50% |
70% |
|
6.交付税措置額 |
58億 |
122億 |
64億 |
7.一般財源から の実質負担額 |
126億 |
74億 |
−52億 |
(注)交付税措置額は金利を含む
- 合併特例債を活用した場合の比較表
例えばということで他の三例との簡単な比較表も作ってみました。地方交付税の措置率が、一般単独事業債の場合皆無に近いので合併特例債を活用すれば、一般財源からの支出額が通常起債よりも少なくてすみ、いずれも大変有利であることがはっきりわかると思います。
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印西クリーンセンター |
富士地区近隣公園 |
農業公園 |
体育館 |
1.総事業費 |
245億 |
25億 |
15億 |
60億 |
2.起債名 |
一般廃棄物処理事業債 |
公園緑地事業債 |
一般単独事業債 |
同上 |
3.起債充当率 |
90% |
75% |
75% |
75% |
4.地方交付税措置率 |
50% |
20% |
なし |
なし |
5.合併特例償起債額 |
141億 |
15億 |
7億 |
38億 |
6.一般財源からの支出額 @通常起債の場合 A合併特例債の場合 |
126億 |
13.8億 |
7.5億 |
43億 |
74億 |
5.5億 |
2.5億 |
16.5億 |
7. 差額 |
52億 |
8.3億 |
5億 |
26.5億 |
8. 率 |
41% |
60% |
66% |
61% |
- むすび
尚念のため、市町村合併は決して行財政改革のためだけにやるのではありません。それは単なる手段であって、目的は言うまでもなく住民福祉の向上と地域の発展です。そのために、合併特例債を有効に活用し市民の叡智を結集して、このしろいキャンバスに共に夢を描いてみようではありませんか。
合併特例債などの財政支援措置
白井市、印西市、印旛村、本埜村の4市村が合併する場合
項 目 |
金 額 |
備 考 |
合併特例債 (A+B) |
532.0億円 |
合併から10か年度間の事業及び基金の合算額 |
標準全体事業費 A |
493.8億円 |
まちづくりのための建設事業に対する財政措置 |
標準基金規模の上限 B |
38.2億円 |
地域振興のための基金造成に対する財政措置 |
(起債可能額) |
505.4億円 |
合併特例債(A+B)の95% |
(普通交付税算入額) |
353.8億円 |
起債可能額の70% |
合併直後の臨時的経費にかかる 財政措置 |
11.3億円 |
5年間の合計額 普通交付税に均等に上乗せ |
市町村合併に対する特別交付税 措置 |
10.2億円 |
3年間の合計額 1年目5割、2年目3割、3年目2割を交付 |
合併市町村補助金 |
6.6億円 |
3年間の合計額 |
ふさのくに合併支援交付金 |
7.0億円 |
千葉県の財政措置、5年間の合計額 |